VIOLENT VIDEO INFO ARCHIVE

本拠は http://m4oism.org/xxx

プライベート・ソドミーニアック『××××と遊ぶな子供たち』

#徘徊する屍骸について

映画を見ようと思い大きなレンタルヴィデオ店に行ったらD
VD化されたヤコペッティの「世界残酷物語」「続・世界残
酷物語」「さらばアフリカ」がホラーの棚にひっそりと飾ら
れるように置かれていた。懐かしいなと思いながらもドキュ
メンタリー調(?)の物はあまり見たことは無かった。ホラ
ー映画のDVD化やリマスター版が出るのは良い事だし、も
っと未成年に悪い影響を及ぼして欲しいのですが「死霊のえ
じき最終版」のように一番肝心な部分がカットされたりして
いるのを見ると少し残念な気持ちになります。

ゾンビに追いつめられた兵士が十字を切って銃をくわえ延髄
を撃ち抜くのだがその部分が見事に消え去っていた。人間は
追い込まれると自ら死を選ぶのだということを分かりやすく
表現した良いシーンなのに。同じく、ゾンビに取り囲まれた
兵士が狂笑しながら食われてゆく部分も無くなっていた。人
間は極限状態を越えると笑うしか無くなってしまうのだとい
うことを分かりやすく表現した良いシーンなのに。あとは
「俺のチンポを噛み切ってみやがれ、このノータリン!」と
いう名言も削除これではリビングデッド3部作の最後を飾る
に相応しい下品ぶりも台無しであろう。

ホラー好きの人と話すと「自分はどのような経緯でホラーに
はまったのか?」という話題で盛り上がる。自分の場合さか
のぼること10数年前、、、

小学3年生に上がったころKというひとり友人ができた。あ
る日その友人Kと昨日放送されたプレデターという映画につ
いて語っていた。生皮を剥がして吊るした死体のシーンの話
になり、私があれはクールだったみたいなことを言いったら
Kはもっとすごい物があるから家に来ないか?と誘ってきた。
私は快諾し期待とわずかの恐怖感を覚えながら放課後、家と
は逆方向の道を歩き新しい友人の家に向かった。その道のり
「それは13日の金曜日よりも怖いのか?」などと尋ねる私
を見てKは口元を微かに動かすように笑った。

家に入り奥に通された場所はKの父親の部屋だった。カーテ
ンの閉まった薄暗い部屋の窓からは西に傾いた太陽の光が差
し込んでいる(その日は4時限授業)。Kの父親はホラーマ
ニアのようでテレビ下のラックにはずらりと黒光りしたヴィ
デオテープが並んでおり、その背にはマジックで下品なタイ
トルがいくつも書かれていた。Kはその中の一本を取り出す
とデッキに挿入した、それがDAY OF THE DEAD(邦題:死霊
のえじき)であった。

私とKは3人がけのソファーに並んで座った。外部入力の黒
い画面から淡い色の映像に変わる、テープからテープへダビ
ングした物のようで画像が粗い。TVの洋画番組で見るよう
な鮮明な映像と違うせいもあり、アタマから尋常でなさそう
な雰囲気が漂っていた。冒頭の壁から無数の手が出てくる場
面は大した印象も無く過ぎ、問題はヘリコプターから都市に
降り立ったシーン。「ハロ〜ハ〜ロ〜」という悲痛な呼びか
けに答える物は無く、ホコリを被ったミニチュア模型のよう
なゴーストタウンのいたる所から腐乱死体が動き始める。群
れをなした大量のゾンビは声のする方向へメインストリート
を一直線に進み、その横で人類の滅亡を告げる古新聞が風に
扇られている。その光景に因って私は生まれて初めて”世界
の終わり”という概念(狭義の意味で)を持った。

そのような状態にある私を尻目にKはゾンビに腹を裂かれる
人間を見て膝を叩き嬉々とした声を上げていた。自分はどの
ような反応したら良いのか迷っていたがKに吊られるように
笑うことにした。私は人生における些細な岐路のひとつを考
えられるうちもっとも酷い方向へと進むことになった。映画
が終わり感想もそこそこにK宅を出るとすっかり薄暗くなっ
ていて道すがら何度も後ろをふり返ったり、曲がり角の向こ
うに立っている腐乱死体の幻覚に怯えつつ帰宅した。その日
の夕食は食べれたが夜に嫌な夢を見た。

味をしめた私はそれからもKの家に通うようになり「死霊の
はらわた」「悪魔のいけにえ」「ヘルレイザー」といったお
馴染みの名作といくつかの駄作、そして運悪く揃っていた
「ジャンク」など色々見せてもらったが、これらの悪影響は
凄まじく学校でも頻繁に行動を共にし悪趣味仲間としていく
つかの奇行(2001/05/13(日)22時45分05秒の投稿参照)を犯
すことになる。

しかし、Kとは中学校に入った辺りから疎遠になり高校が分
かれてからは会うことも見かけることも無くなってしまった。
それから何年も経過したある日、古い同級生の通夜の席でK
と再会した。久々に話しかけ「どうでしたか?」みたいな事
を尋ねると、Kは膝をぶっ叩いていた時と同じ下品な面を向
けて「本物の死体が見れて嬉しい」と言った。私は腹を抑え
て笑ってしまった、今ならあの時見せたあなたの頬笑みの意
味を理解することができます。

※参考資料DAY OF THE DEAD、児童心理と精神衛生について、
 心理的負荷による精神障害