VIOLENT VIDEO INFO ARCHIVE

本拠は http://m4oism.org/xxx

グランジ日記 総集編

11/16

 教室でじっと座っていると酷くいたたまれなくなって視界が完全にふさがるまで深く帽子を被り、
弧を描く黒い幕の下から見える机や床を眺めていました。遠くから電車が走ってくる音が聞こえ、
その音厚が私とちょうど重なる瞬間に叫び声のようなブレーキ音が鼓膜を揺らすような大きさで耳
に響く。屋上のすべて飲み口をねじ切られた水道をひねると小さな噴水のように弱々しく水が盛り
上がり、久しぶりに雲の隙間から太陽が覗き楕円形を維持したまま流れ出る水道の水がそれをはね
返し、屈折した六角形の軌道が赤と青のグラデーションを映え彼方の森を突き抜け、雲が太陽を隠
しそれを遮った。肌寒い風が東から吹き始めそれに乗るように薄黒い雲が上空を覆い始め、滑走路
の下に立ちその上を飛行機が音も出さず通過して行くような不吉な映像が頭を過ぎあたりは灰色に
変わった。踵を返すと同時に冷たい物が肌に触れ、細かく痛点を狙い澄ますかのように頬を刺す雨
粒が降り始めた。

 傘はないがどうしようか。そんなことを不乱に考えている内に雨は止んだが、衣服に沁みこんだ
水分が腕や首元を蒸れさせているような不快感が付きまとい指で拭うと、己の指手の平の冷たさに
生温かい汗ばんだような肌が悲鳴をあげるように震え一瞬にしてその不快感は消えた。わずかな時
差を含み各所からベルの音が鳴り、散発的な震動が毛髪の先端を首を左右に揺らし半径5メートル
の狭い範囲の中の遠く方を眺めていた一日が終わりをむかえ先と同じように電車の音ブレーキ、階
段を駆け降りるバラバラと言う音と六角形の屈折した光と飛行機雲、丸い水ガラスの塊が頭の中で
晴れない灰色の雲に覆われ色を落とし音のない滑走路にまたひとり突っ立っているような不吉。

 再び電車の音ブレーキ、階段を駆け上がるバラバラという音と半径数センチまで縮められたより
狭い範囲の遠くを人と人の隙間を縫っては黒い幕に視界上部を遮り自分の胸と膝と足、床を見る。
上の飛行機が通過したようにトンネルを抜け地下から地上に出た瞬間、視界に入った風景に飲み込
まれて一秒間に満たない抜けた感覚は振り出しに戻るようにまたくり返しの位置。滑走路の真中心
に呆然と佇む人、人の木がコンクリートの地面に深々と根を突き刺し慣れた臆病躁鬱風にさらされ
るがままに、今日も明日も昨日のままただ不吉。


10/9

 髪の毛を切った。思いきってぼうず頭にした。それまで私は中途半端な長髪で色を抜いており、
ちょっとした食み出し者のような風貌であった。髪を切った理由は、左目に定期的にできる腫れ物
に前髪がかかって痛くて仕方なかったのと、明け方に何となく緩い躁状態になり切ってやるという
気分になったから。実家を出る時、こっそりと持ってきた理髪用のハサミで壁掛けの鏡に向かいな
がら、手鏡を片手に悪戦苦闘すること数時間、見事ざっくばらんに頭が丸まった。改めて鏡に向か
うと思わず私は噴いてしまった。その顔形は何かの本で見たネオナチの若造ようであり、さらに悪
く言えば映画などで見かける囚人その物だった。しばらく帽子を欠かせない生活が続きそうだ。

 髪の毛を切った日の朝はどこか自由になれた気がして。という出だしで始まる歌があり、この歌
が好きでその通り朝に髪を切ったわけなのだが、とくに変わった気持ちになりはしなかった。疲労
感のせいでそう感じてしまうのだろうか。窓を開くと冷たい風が入り込み、頭のあたりが寒い。秋
とはこのように寒いものだったのだろうか。1年前の今が暑いか寒いかなど、夏や冬をはさんでし
まえば体の方が忘れてゆくのだろう。それとも、関東は常にこのような気候なのだろうか。そのあ
たりが、私を自由になった気にさせない原因のひとつなのかも知れない。今日眠り次朝起きた時は
そのような気分になっていてはくれまいか、と思う。 体育の日をはさんで3日の連休が続いたが
とくに家も出ず、本も読まず何かに集中するということが無かった。でも、心の中は奇跡のような
平静さを持続させていて、如何に己の荒んだ部分を誇張し読み手を滅入らせるかに徹してきたこの
日記も、有り触れた日常を綴った散文になってしまいます。やはり、酷く胃が苦しいような時やど
うしようも無いくらいに心が腐っていたり日常的雑務追われている時ほど、殺すだの死ぬだの気違
いだのという言葉ばかりが浮かぶようで、書く物がそっくりそのまま心情を映す鏡であるという己
の単純さに少し溜息が漏れています。

 というのはすべて嘘で、むしろ精神的に余裕がある時ほど面白がって、脳内デスファイルを展開
させながら自由に人を殺めたり、狂わしたり、犯したり、暗黒大陸横断したり、平成の切り裂き魔
したり、やりたい放題なのですが今は無理なんです。そうです、私は現在すさまじく追い込まれて
いて、最悪の事態を迎えているんです。もう死んでしまいそうなんです。さっきちょっとハサミで
皮切ったら思った以上に血が出て焦ってたし、何かゲロ吐きに行こうとドア開けたらバコッとかい
ってドアノブごと取れたし、普通いきなりぼうず頭にするかよ。しかも、自分の中での最末期的症
状であるTVに向かって悪態をつく、が出てきたし。もうダメだ死にます。


10/6

 午前中は千駄ヶ谷の辺りをぶらぶらとうろついていた。通りかかったコンビニで無性にアイスク
リームが食べたくなり購入。カップに入ったヴァニラのアイスで、近くの公園のベンチに座って食
った。ものすごい勢いで食べた。口の中の温度が極端に下がり、頭の芯がわずかに痛む。あのぶっ
倒れそうな暑さはどこに行ったのだろうか、などと考えながら透けた雲を見上げていると急激に腹
が痛みだした。どうやら、冷たい物を一気に胃に入れたので腹が冷えたのだろう。少しばかり気味
の悪い冷や汗が出てきて、公園の隅にある饐えた公衆便所に入った。たいして汚れてはいないが、
四方の壁がまさに便所の落書きでいっぱいであった。暇潰しに読んでゆくと案の定、この電話番号
の女はすぐに股を開くだの、拙いがリアリティのある男性器や女性器がボールペン、鉛筆等で殴り
書きされていた。実を言うと僕は、別にこういう物を見てもなんにも腹が立たない。むしろ見てて
愉快千万。それは、僕がどぶ川精神の持ち主だからです。

 僕も彼らと一緒に、どぶ泥の湯に浸かろうとバッグから鉛筆を取り出し、どす黒い文字でhttp://
l.nevermind.tripod.comと書きました。えるどっとねぶぁーまいんどとらいぽっどこむと書きまし
た。その文字の羅列は、美しい体に生々と付けられた傷痕のように美しく見えました。やがて、途
切れ途切れにぷつぷつと耳鳴りのような物が聞こえてきます。ごきぶりの這う音が清々しい鐘の音
になり、うじむしの孵化する音が感動の拍手になり、べんじょばちの羽化する音がクラッカーの弾
ける音になります。これは、暖かい祝福の騒音なのかも知れない。でも、本当は願い下げです。こ
のきちがい野郎が。僕はそこまで落ちぶれてはいない。嘘です。嬉しくは無いのですが、少し安心
した。でも僕には、まだまだ勇気が足りないのです。

 数時間後、僕はチョコレートを頬張りながら帰路に着いていました。でも、寄り道して高い所に
上がりました。空を自在に滑空するこうもりの群れは、何もかも歪んで見えているのでしょうか。
何やら、壁にぶち当たって即死するこうもりも少なくないようですが。いつも歪んだ、じっとして
いる時は逆さまに、地に落ち今際の際に見る正しい風景は彼らにどう映るのでしょうか。死の引力
に足元をすくわれそうになりながら地上に降りると、連休を前に軽い足を弾ませている人たちがた
くさん居ます。頭上にはやはり、たくさんの優柔不断なこうもりが飛んでおり、僕に死の今際とい
うことをしつこく考えさせてきます。手を伸ばし奴らを捕らえて首をねじり、頭から噛んでやれば
奴らの芥子の脳が僕の足を軽くさせてくれると言うのに、知ってか知らづかこうもりたちは、反転
疾速をくり返しながら虚空より逆さ向きに僕を嘲っております。


10/5

 もう十日間ほど部屋の中に閉じ篭ったままだ。そろそろ、出不精の域を越え始めている。ずっと
だるい音楽ばかりかけていて、マイブラディヴァレンタインの空気に溶け込むような音の蠢きやざ
わめき、寄せ返す波のような不吉な音の反復が一掃人間の持つ機能を弛緩し続けているような気が
する。雨が降っているような気がしたのは、昨日かそのまた前か。晴れた陽光が眉間に刺さるよう
な痛みを与えたのは、昨日かその前か。酷く気を落としたのは、昨日、おとつい、今日も多分そう
だ。連日連夜、記憶による強姦を受けていて私は限界の際にまで来ていた。人は極限にまで追い込
まれると、どんな醜態を晒しても己の自我を保とうとする機能が働き、それが己の死であろうと社
会的に抹殺されることになろうと、

 とまで書いた所で、三日が経ってしまった。日記を途中で投げ出すことはよくあるのですが、ま
た再び書き始めるのは初めてです。この空白と呼んでもおかしくない三日の間、私に何が起こった
のかと言えば、思い出す事さえ耐えがたい苦痛であり、今だその陰惨な出来事は持続した状態であ
り、もはや上記のような極限の状態に追い込まれているんです。今日まで、虚実入り乱れて書き続
けてきた(消去分も含む)グランジ日記の中でも、もっともぎりぎりの所まで来ています。先ほど
から何度も頭の中を、死、自殺、殺人、強姦、発狂、という文字が融合分裂を繰り返し、表現する
事のできない感情意識となって責めぎあっています。今すぐ、とにかくどこかへ走り出したい気分
です、が。くたくたになっても、丸腰でも、歩く人を後ろから拾った石などで殴って殺すことはで
きます。 と書いた所で、さらに二日が過ぎました。事態はそれなりに、少しばかりの犠牲を払っ
た物の終息に向かっていました。今日、私は思考能力がろくに機能しないまま、朝の陽光を浴びな
がら自然と眠りにつきました。その時、私は恐ろしく長い夢のような物を見ました。年齢にそぐわ
ない、そでが爪の先まで隠すような大きな服を着た女の子が目の前で、そのそでをさんざん引き摺
られた挙句、殺されました。まだ幼い私は、それをただ傍観していました。やった男は。やった男
は私と同じ顔だった、という安易な物ではなく、ただ自分の将来を酷く悲観した挙句に、己の中で
構築した猟奇世界で繰り返される末端映像に過ぎないのかも知れない、と思った。

 そでの長い大きな服をきた女の子は、成長及び立身への背伸び行為の表われと、内的女性の反発
を意味しているようだった。傍観する幼い自分は、自己投擲の術を持たない憤りと、私自身の甘え
の象徴かも知れない。殺す男は、私の周囲を取り囲む乗り越えることのできない現実の壁であり、
私の投げ出してきた事が積もり積もってできた障害物である気がする。私の夢の中での出来事は、
自殺願望から来る物でも殺人願望から来る物でも無かった。私の猟奇世界を徘徊する殺す男を殺し、
私がその役目を奪い取り支配するのが、今の自分に課せられた唯一の目標であり、いつの日かその
役目を手に入れ、そしてその役目を追われることになったら、それが多分、私の最後なのだろう。


9/28

 街角は秋の色に染まっています。今日もろくでも無い一日が終わろうとしていて、私は永久に続
く嘔吐感のようなものに悩まされています。一日一日が無味乾燥の連続で、如何に今日は意味有る
日を過ごしたかを競い合う人、人の群れが私の存在を少しずつ少しずつ削り取っていきます。朝食
を取った日の朝、昨日見た夢の解釈に心血を注ぎ出た結論が、死んでしまいたい、という願望から
来るものだと分かり愕然とした。だからと言って、手首に刃物を当てたり、水をたくさん飲んだり
するような真似はしませんでした。ただ歯を磨いたり、髪の毛を切ったり、部屋を掃除したり、服
を洗濯したり、食事を作って食べたり、それはすごく虚しくて、気が付くとずっと椅子に座ったり
絵筆を口に突っ込んだりしています。

 秋の長雨も終わり、夜には涼しい風が吹き、でも無意識の内に冷房のスイッチを押していたり、
半袖半ズボンで外に出たり、季節の変わり目は色々と奇行を犯しがちですが、やはり今日も無意識
のまま近所の寂れた遊園地に行ってしまいました。恐ろしく貧相な観覧車が見え、柵の外から覗け
る煤けたメリーゴーランドやコースターが何か特殊な施設のように見え、人影は無くとても不気味
な隔離空間としてそこに存在していました。当然、中に入る気など沸かず、ただ気の触れた人と行
けばそれなりに楽しめるのかも知れないと思った。そう言えば、ノイローゼになってしまった友達
にディズニーランドへ行こうと誘われるとかいう歌があったきがする。例えたらそのような感じ。

 ここ一週間ほど、私は誰とも話していないことに気付いた。そしてこのように文章ばかりを書い
ているのだが、次第に話し言葉という物を忘れていってるような気がしてならない。たまに人と話
したりすると、何だか自分が喋っている実感が沸かず、相手にも伝わり難いようで何度も聞き直さ
れたりする。いっそのこと唖にでもなった方が楽なのかもしれないと思うが、口を突いて、死ね、
殺す、と言えなくなるのは少し寂しい気がした。今さっき、死ね、殺す、とつぶやいてみたが酷く
まぬけのように聞こえた。もう一度、死ね、殺す。実感が沸かない。死ね、殺す。いまいちだ。死
ね、殺す。まだまだだ。死ね、殺す。死ね、殺す。死ね、殺す。死ね、殺す。死ね、殺す。死ね、
殺す。死ね、殺す。死ね、殺す。しね、ころす。しね、ころす。しね、ころす。しね、ころす。し
ね、ころす。しね、ころす。しね、ころす。しね、ころす。しね、ころす。しね、ころす。しね、
ころす。しね、ころす。しね、ころす。しね、ころすしねころすしねころすしねころすしねころす
しねころすしねころすしねころすしねころすしねころすしねころすしねころすしねころすしねころ
すしねころす


9/23

 物を食ったら吐いた。消化液と胃の内容物をコーラのペットボトルに小刻みに吐き出してゆく。
半分くらいのところまで溜まった。最近、毎日酒を飲むようになって200円で釣りの来るワンカッ
プ焼酎を2日に1本ペースで空けるようになった。私は酷い下戸でその程度で十分に酔えた。中島ら
もの「今夜すべてのバーで」というアルコール中毒を主題にした小説を読んだ事があり飲酒による
憂さ晴らしの危険性みたいな物は承知しているのだが、この小刻みな嘔吐の原因はやはりそれにあ
るのだろうか。身体の衰弱も激しい。5月の頃には56kgあった体重が今では50kgを切りそうな勢い
で減少している。肌に張りが無くなり、人に頬がこけ過ぎていると言われ、食欲性欲も奮わず、人
と話すのが常に億劫で、論えば切りは無いが都市生活者に限らずこんな状態に身を置いているのは
何も珍しい事ではないだろう。日がな寝台に身を預け虚空を眺め、ステレオから流れる質の悪い和
音に眠気を催し昼夜問わず眠る。胃薬をばりばりと噛んで飲み、温い水道水で流し込み5分もすれ
ば昨日食べたパンのどろどろとした物が込み上げ、指を咽喉に突っ込み洗面所で吐き出し口の端か
ら垂れた涎を手で拭いながら顔を洗えば眩暈がして陽光の果てに見る絶望失望諦念燥焦すべてがめ
ちゃくちゃな最早言葉にならんもうだめだ。

 まだまだ年端の行かない頃、車に乗るたびに酔ってゲロ吐き家族から忌み嫌われていた。私は車
に乗っている最中に 2度吐くゲロを2度ゲロと呼んで恐れていた。1度目より遥かに苦しいからであ
る。この苦しさが誰にも伝わらず、私は一人自立心を磨いたは良い物のその地獄でみた苦痛に対す
る強迫が今もなお私にとってはもう怖いのではなく、これは最早憎しみ、憎しみである。私をもう
2度と苦しめないでください。死ぬのが怖いから私は死ぬ事が出来ません痛いのが怖いです僕はも
う弱い存在ですからもう許してください。ふざけるな、なめるんじゃねえ、殺してやる、くたばれ
あほ。すいません、もうしません。今日渋谷のタワーレコードに行ったら変なあほが踊ってて試聴
できませんでした。あほじゃねえの? ふいざけるな、何でお前の為に俺が試聴できなきゃらなら
んのだ。なんだそのぼうしはげいじゅつかきどりかてめえはかんこくじんかよ、な滲んだ4手壊疽
の踊りヤメロヨ俺に試聴させろ。

 めくら女を1年間放置した理由を僕に教えて下さい。めくら女と図書館行った時結構、喜びまし
た。東京に来てからこんなに良いことはありませんでした。僕はいつも虐げられてきました。でも
その倍くらい虐げてきました。私はサディストです。僕はヴィヨンの妻を犯します。商店街の太宰
治は今日もラリッていて、僕に根性焼きを強要してきて困ります。太宰はショートピースを吸いな
がら堕罪について僕に講釈を垂れました。ぎゃははは。僕が笑うと太宰も破顔で笑いました。ぎゃ
ははは。ぎゃはははは。夕暮れの商店街を歩く人たちが僕たちをあほを見るような眼で、軽蔑と羨
望の眼差しで見つめていました。さようなら、僕の躁病患者時代。そしてありがとう。祝辞を述べ
た僕は、喜んで手元にあったエチルを一気に飲み干しました。そして、ぶっ倒れました。ぎゃはは
ははは。太宰が笑ってます。それは答辞だった。ぎゃははは。僕も笑います。ぎゃははは。太宰も
エチルを一気に飲みます。やはりぶっ倒れます。ぎゃははは。芥川先生がブロバリン持って2階から
降りてきました。すでにらりっていて何言ってるの理解できません。それを奪い取って噛み砕いて
飲みました。地面にこぼれたやつを太宰が拾って飲んでます。ぎゃははは。えちるをもう一杯。
ぎゃははは。


3/24

 最近、五感を働かせるたびに無意味なデジャヴに悩まされ続けている。こうやってモニターを前
に座っている時や何気に音楽を聴いている時など、何時でも何処でも感じられる。何か別の意識が
混入しているのだろうか。何かするたび、どうでもいい懐かしさに捕らわれ感傷的な気分になり、
訳の分からない事で胸を締めつけられる思いをする。締めつける思いと言っても恋愛的なものでは
なく、後悔や憂愁といったものばかりで、そんな物をしょっちゅう味合わされるのは苦痛以外の何
物でもない。記憶の許容量に限界が来て、少しづつ意識の外に漏れ出してそういった状態に陥るの
かもしれない。思えば私も長く生きたし、色々な事を思い出すのも良いのかもしれない。しかし、
これから先を築いていく意志はほとんど無い。私はこのまま朽ち果てるのだろう。もう、前へ進む
事ができない。誰による甘い言葉も辛い言葉も聞く気がしない。私は私ではない。放棄する。

 部屋にいると空を飛ぶヘリコプターの音が部屋全体を振動させ、ベットで横になっている私の目
を覚まさせた。さっきまで雨が降っていたのに、今は雲の隙間から弱々しい太陽が漏れ出して、滅
多に陽の光が入り込まない冷えたこの部屋に僅かながらの暖かさが漂った。でも、流れの速い雲に
よってあっという間に覆い隠されてしまい陽の光は閉ざされて消えた。6:4の割合で目を開けてい
ると、何か得体の知れない巨大な不安の固まりのような物が私の全てを飲み込み始め、あたかも全
身を緊縛されような非常に不快な感情が沸き起こると共に、あまりの不安さに泣きそうになり全て
を投げ出したくなった。でも、何ができるわけでもない。過ぎるのをぢっと待つことしかできない。
私はその間中、何処か、今居る此処とは違う遠くに行こうと考えたのに、くだらない世俗的な意識
に阻害されて何もできないでいる。どちらにせよ、私は放棄したし、諦めてしまった。逃げた先に
は何も無いはずだが、今此処にも何も無い。私は空を飛ぶ方法は知らないが、空から落ちる方法だ
けは知っている。


1/8

 この最低の人間! と言われた事は何度かあります。11歳の時、クラスメート全員の前で担任教
師に言われました。でも、私は嬉しかった。初めて、人前で悪になれた。思い起こせば、10年近く
前の事。幼稚園や小学校低学年の頃、よく大掛かりな劇をやらされていました。ある時、ピーター
パンの劇をやる事になり、配役を決める事になった。昔から、悪役に憧れていた私は、是非とも敵
方である海賊を演じたかった。しかし、向いていないという理由で、森のクマという居ても居なく
ても良いような役に決められました。その時の憤慨といえば、幼年期時分には大変な悪影響であっ
た事は言うまでもありません。その時、心に誓いました。外見で悪と判断されないなら、内部から
悪になってやると。その誓いを忠実に実行し、この最低の人間! と言われる事を誇りに感じまし
た。そんな誓いも、時が経つとゆるやかに消えていって、近頃は、この最低の人間! と言われる
ような事はほとんど無くなりました。でも、その時の誓いは今も心の中で小さく燻っていて、しば
しば私に小悪党な言動を行わせます。何故、私を歪ませたのですか。何故、私は歪ませてしまった
のか。私は、ただ、悪役を演じてみたかっただけなんだ。

 今から眠ることにします。正午までは起こさないように願います。眠ると、いつも夢を見るので
すが、やはり、悪夢です。目が覚めて、夢で良かった、と胸をなでおろしてばかりです。もはや、
悪夢を通り越して別の何かを見せられているような気さえします。しかし、酷く疲れている時に、
一度だけ良い夢を見た事があります。でも、それは人に言わせれば悪夢以外の何物でもありません。
やっぱり、今日は正午まで起きていることにします。

 このような、不条理な感性で日常を生きるのは、楽しいですが、少し寂しいです。普通の感性で
非日常を生きるのは、酷い苦痛ですね、死んだ方がいいよ。私は、何も生産的な事はせず、ここ半
月ほど暮らしてきました。私はこのままどうなるのだろうか? なんて考えるような真似はしてま
せんが、どうなるのだろうか。貴方や私は。いつの日か、知らず知らずの内、夕陽を背景にすれ違
いたいですね。意味なんて全然無いんだけど。まあ、明日は良い天気でありますように、と祈りま
す。まだ、冬の陽射しという物を味わっていないから。心の残りだ。春なんか来るな。夏休みなん
かは永遠に来ない。永遠に続くのは冬休み。明日はクリスマス。昨日は元旦。今日は大晦日。


11/13

 今日やさぐれて1日中部屋で寝ていると、何時の間にか18時間も眠っていた。昨日も15時間ほど
寝ていた、そろそろ腐ってくるかもしれない。起きても体からはまったく動く力が沸かず、眠れぬ
ままボーっとしていた。何物にも束縛されず、このままゆっくりと存在が消えてしまわないかと願
った。未来を失ってしまえば、そこに罪は無いと思った。それでも、このままではせっかくの休日
が無駄になると、起きだしている自分はやはり俗物なのだろう。

 厚着をして、とくに行く宛てはないが夜の町へと出かけた。大きな本屋に入ったが、数分経つと
閉店を告げる蛍の光が流れ始めた。少ししか読んでおらず、名残惜しかったが店を後にした。 暫
く走り、公園のベンチに座って傍の大きな池を眺めながらタバコを吸い始めた。とても静寂で、人
1人いないここで徐に本屋から持ってきたフリーペーパーを読み始めた。他愛も無い内容で、タバ
コの火で穴をあけて弄んだ後、池に捨てた。私は、真っ暗で独りベンチに座る自分を見て映画のワ
ンシーンのようだと思った。


11/10

 はいどうも、リチウムです。今日は何も書くべきような事がありませんでした。何か伝えたい事
は無かったのか? 何か訴えかけたい事はなかったのか? 何か吠えるような事は無かったのか?
在りませんでした。 私はただ座って時間が流れるのを待っているだけでした。その間、「教科書
持ってきてません」「半世紀も前の新聞なんか持ってくるな」などといった、毒にも薬にもならな
い台詞を半覚醒の状態で呟くだけでした。昼飯を9時の時点で平らげ、もはや後は何もやる気無し。
全員死ね馬鹿、奴隷、家畜、蛆虫、お前がだ、悪かったな、テメエもだ、忘れないでくれよ。


11/9

 今日、面白いことが起こりそうだったのに不発に終わりました。授業中、不良っぽい奴がプライ
ドが高そうな普通の男に「その服変やなあ」、と言ったら普通の男が無視して、不良っぽい奴が頭
にきてこれ見よがしに大声で「その服最悪、最低、1000円貰っても着やん、恥ずかしくて人前に出
られやんわ」などとクラスメート全員に聞こえるよう大声で連発し始め、その普通の男も切れる寸
前なのが表情で分かりました。教室には妙な緊迫感が走り、静まり返りました。私は心の中で「い
け! 切れろ! 殴りかかれ! シャーペンで刺せ! 両方とも血まみれになって殴りあえ!」、
などと必死に煽りました。しかし、いい所で教師が止めに入りこの場は収まりました。


11/1

 今日学校に行ったのですが、筆記用具全部忘れてしまいました。元々やる気なんて無いんですが、
やる振りくらいはしているので少し困りましたね。そんな事はお構い無しに授業が始まりました。
いつもは利き手にシャーペンを持っているのですが、持っていないので腕を枕にして寝ていました。

 しばらくして、ふと眼を開けて周りを見ると、私以外の全員が一心不乱に黒板を書き写している
ではないか。教師の声だけが響き、生徒たちは黙ってシャーペンを走らせている。それもそうだ、
今は受験直前で皆必死なのだから。こんなに腑抜けているの自分だけで十分だ、と考えてみた。
そして、私はただ、彼らをボーっと眺めていました。その時なんだか、世界中で一人取り残された
ような気がしました。頭をぐっともたげて、再び目を閉じようとしましたが、必死に閉じようとし
ましたが、なんでだか閉じられませんでした。シャーペンを持っていないことだけで、これだけの
疎外感を味わうことになろうとは夢にも思わなかった。それからという物、奇妙な焦燥にかられ、
落ち着くんだ落ち着くんだ、とブツブツと音を立てて爪を噛んだ。


10/28

 昨日は体調を崩して学校に行かなかった、今日も面倒だったので最後の方の授業だけ出ようと思
って家で寝ていた。そして、適当な時間まで寝て学校へ向かった。遅刻の手続きをとって、教室に
入ったが誰も居なかった。おかしいなと思って少し考えたら、5時間目は体育だったのだ。 私は
体育の授業に向かう気がせず、1人教室でボーっと座っていた。あまりにヒマなので、社会科の地
図帳を取り出して世界地図を眺め始めた。アジアから始まり、アフリカ、ヨーロッパ、中近東、オ
セアニア、アメリカ大陸、頭の中で「何処へでも行ける、何処へでも行ける」とつぶやきながら10
0マイル単位で眼走破していった。


10/22

 極度の睡魔に襲われベットに倒れ込んだら、堅い部分で後頭部を強打して半気絶状態でもがき狂
死んだ。そのまま、気絶したのか眠ってしまったのかは解らないが、目が醒めた時には数時間が経
過していた。


11/12

 今日は学校に行かない、理由はバカだから。クラスメイト達は愚痴ってるくせに大人しく授業を
受けている、私は愚痴を言わずに授業を受けない事にする。というか、雨が降ってるから自転車に
乗りたくない。昨日、自分の行動を正当化するため「レールの理論」という物を編み出しました。
当然ここでは割愛するが、これにより今まで私の中で処理できなかった不安神経の大部分を抹殺す
る事ができた。これは、いつか匿名でミッション系掲示板に公開するつもりだが、即刻削除される
のは目に見えているのでお蔵入りにします。


12/26

 年賀状を書きました。ネットで拾ってきた死体画像・宇宙人画像・人間之幼虫画像・畸形画像・
その他を年賀はがきに気の趣くままにコラージュ。怨師・疎縁になった友人知人等に送りつける。


12/24

 クリスマス・イヴです。ケーキ屋の娘さんにババロアを貰って悦んで喰ったら、毒を盛られたよ
うで死ぬほど苦しみました。あのがき必ず犯す。


9/10

 学校の教師がむかついたので早退した。ヤロー轢かれて死なねえかな。帰る時にまた道端で猫が
車に轢かれて死んでいた、この猫の代わりに轢かれて死んでくれ。


9/9

 俺は酒が飲めないので酩酊する事ができない。だから、理性を解放する手段を持っていない。そ
こで、自分の中に溜まったヘドロを吐き出す場所としてリチウムを作った。